就業規則の見直し・労務管理・サービス残業・36協定・労基署対応の無料相談。静岡県静岡市の就業規則専門社会保険労務士 社労士 杉山行彦

労働時間の範囲


Q2 . 当社の始業時刻は9時ということになっていますが、従業員の中にはいつも時間ぎりぎりに出勤する者がいます。
始業時刻に会社の敷地に入ってくる者がいたり、トイレで化粧をしている女性従業員もいます。
先日彼らを遅刻扱いにしたら、苦情になってしまいました。どのようにすればいいでしょうか?



よく見かける就業規則
従業員は、出勤及び退勤する際には、出退勤時刻をタイムカードに自ら打刻しなければならない。



A. 1)タイムカードはきちんと記録させる。 
タイムカードで出退勤を管理している会社はたくさんあります。
タイムカードで多いケースは、出勤の際すぐに打刻するために、労働の開始時間=打刻時間とならないということです。
したがって会社の方針として、会社到着時間を打刻するのでなく、業務開始時に打刻するという習慣を徹底する必要があります
就業規則においても、始業時刻には仕事を始め、終業時刻までは帰り支度などしないで、仕事を遂行しなくてはならない旨を明確化しておくことが必要です。


A.2)労働時間の概念を理解しましょう!!
労働時間というのは、「労働者が使用者から指揮命令を受けて労務に服している時間」のことをいいます。
会社の敷地に始業時刻に入っていればよいというものではなく、まさに業務を開始しようとする時刻が始業時刻です。
工場等で機械を動かす前に点検作業を行なうことがあります。
点検作業は準備作業ですが、本来の業務に付随している場合には、労働時間とみなされます。


A.3)着替えの時間は労働時間になる 
始業時刻についてはいろいろな判例が出ていますが、着替えの時間についてもよくご質問を受けます。
以前の判例(三菱重工業長崎造船所事件 H12.3.9)では、装着することを義務づけられている作業服や安全保護具の着脱は、 始業前・ 終業後に行うこととされている場合の、 着脱に要する時間も、 使用者の指揮命令下におかれている時間ということになっています。
労働時間となるかの判断基準は次のとおりです。

1. 会社の命令(就業規則その他の社則または慣行)として一定の時間に所定の更衣室において使用者の指揮命令を受けて更衣することが義務づけられ拘束されており(社外での着用禁止)、かつ服装についての点検がその場で行われているような場合。
2. 業務の性質上、作業服に着替えて作業しなければならないもので、服装管理を使用者が行っている場合。(例えば、半導体の製造従事者でクリーンルームで作業する場合の作業着、ホテルのボーイ、ガードマン、車掌等職務の識別の明白性の要請によるもの、制服の警察官、制服の消防士等身分ないし責任の明白性等からの必要性のある場合等)であって、服装の管理も使用者の労務管理の一部となっており、その管理責任が使用者にあると認められる場合で必ず使用者の支配管理下で更衣すべき義務のあるというような場合
3. 一般従業員と違って、その業務の性質上特殊な服装をしなければならない場合
たとえば、熱処理現場の耐熱服、商品等の宣伝用服装をしたマネキンガール等については、その服装の着用事態が業務となり必要的な作業準備行為となるので労働時間となる。
また、法令上着用が義務づけられている服装等の場合にも内容や事情によるが原則として所定時間内で行うべきにもかかわらず任意に始業前に行ったような場合を除き労働時間となる。